(告知)6月14日のエスキスについて

6月14日(火)
AM10時〜@せんだいメディアテーク2階にて。
講師 松原弘典先生

当日は、下記のサイトからustとtwitterをしていただきます。(3がつ11にちをわすれないためにセンター)
http://www.ustream.tv/channel/recorder311
http://twitter.com/#!/recorder311

よろしくお願いいたします。TA赤垣

6/9 小野田先生エスキス2

TA赤垣です。本日は小野田先生によるエスキスが行われました。
各チームのコンセプトは、簡単に言うと。。。

①すずめ食堂
仙台の文化的拠点として7階を大きな庭、リビングルームとする。
人の動きのバリエーションを増やす。

②ランナー
10年間走り続けるための器としてのメディアテーク
tube in tube というコンセプトで、チューブからの波紋をダイアグラム化。

③モデル
専門性の高かった7階において、human scaleでoffice land scapeを考える。

都市スケールの読み込みを、上手くビジネスモデルや提案に結びつけられたら面白そうである。


上のまとめは簡略化しすぎかもしれませんが、各チームに共通して、提案(7階の位置づけ)がやや分かりづらい印象を受けました。
一言で言い切る、は言い過ぎかもしれませんか、分かりやすいダイアグラムを作るなどして、他者に伝える工夫が必要かもしれません。
頑張ってまとめたリサーチが無駄にならないよう、上手く利用して提案をして欲しいと思います。


4日後の松原先生のエスキスまでに、各グループ頑張って追い込みをしてください。
メディアテークの場所をお借りするということで、当日はust放送をすることとなりました。

TA赤垣


赤垣さんの要約は面白いじゃないですか。みんなは、「自分はこう見られている」と思ってやるといい。7階は設計当時は「studio」と整理されていましたが、みなさんの改装ではなんと呼ばれるべきでしょうか?アメーバに代わる簡単な平面形はどのようにしますか?簡単に言えるに越したことはないです。ビフォアに対してどういうアフターにするか、わかりやすい説明を聞きたいですね火曜は。

松原弘典/110611湘南台

6/2 モノ班ネットチェック

モノ班のリサーチ結果です!(コウ、青島、北本、山崎)

松原先生こんにちは。モノ班です。
モノ班は前回の小野田先生のエスキスでは、「家具」「収納」「照明」の重要性を指摘され、今回はその中の「家具」について、実測する機会があったのでリサーチを行いました。(すみません、前回松原先生にご指摘いただいた照明については勉強中で、また空間班のリサーチ内容と現在照らし合わせている状況です。)

*今回の内容
 ・家具の実測データ(SMT1F、2Fとセンタースクエア1F)
 ・実測データに基づく分析、考察、比較

まず、smtの1F、2Fの家具について実測を行いました。また実際に足を運べ、家具と建築の関係を考察する対象として東北大学のセンタースクエア1F(ダイニング)を取り上げました。この建物の家具は、伊東豊雄さんの多摩美図書館の家具を担当し建築空間への造詣も深い藤江和子さんが家具を手がけています。

1. Smt実測


図:smt1,2階における家具と建築の対応
実測した家具のなかからピックアップし、家具・家具と空間の対応をみた。

表:調べた家具のデータ

ああ、自分たちのよく知る他の建物とsmtを比べたのはよかったですね。藤江さんの家具は比較的かちっとした印象があった(ヒルサイドテラスの家具、というイメージがあります)ので伊東さんもsmtのころはまだ一緒にお仕事されたことはなかったはずですが、多摩美藤江さんが教えていらっしゃる関係でコラボをはじめてして、伊東さんご自身も藤江さんの家具やそのお人柄をかなり好きになられたようです。


2011年3月11日以降のSmtの家具のレイアウトを参考に、1階と2階の家具の実測および建築空間の対応を行ってみた。
調査によって、いくつか気づいたことが出てきた。まず、1階と2階の家具は白と黒を基調とするものが多いということである。水平面(机の座面など)で白の場合(A-aテーブル、F-d椅子)は床の色と同調するように、黒の場合(A-c椅子、B-e椅子)は床に対してよく見えるようになっている。しかしテーブルで黒のケースは見受けられない。また垂直方向の骨組が白の場合がある(C-c棚)これはsmtのチューブの骨組みが白であることに同調している。


smtの家具は「特注品」と「既製品」扱いの二つがあると思ってください。特注品はこの建物のためにとくに設計制作したもので、既製品はカタログから選んだものです。1階はカリム・ラシッドの特注家具は朱色のインフォメーションカウンターとショップのグリーンのカウンター、カフェの中央に突起のあるテーブルの3点だけだったと思います。カフェの椅子やオープンスクエアのイベントで並べる椅子はカタログから選んでいて、しかも設計はカリムでなく7階の特注家具を設計しているラブグローブさんのものです。カフェのフロストミラー張りのパントリーは当初はカリムの特注にしたかったんですが、設備との取りあいが面倒で時間が間に合いそうになく伊東事務所でやっています。ショップの角の取れた商品棚などはカリムのカウンターにあわせてやはり伊東事務所が特注設計制作しています。2階は床に固定のガラスのマガジンラック、白いカウンター、クローバーチェアは妹島さんです。まあ出生はいささかばらばら、ということですね。
 色については、伊東事務所の建築はモノトーンで外部デザイナーの家具や人でカラフルに、というお願いをして家具デザインを外注しましたが、妹島さんがグレーと透明を選んだので2階の家具は結果的にモノトーンになってます。3,4階の図書館もKTAが木の無垢材の質感を選んだので結果としてあまりヴィヴィッドな色は見えてきていません。あえて設計当初のルールをいうなら、家具はモノトーンな建築と対比的な色で、ということが最低ルールとして決められていたことになります。


第二に各階で家具に用いられている色は白と黒(グレーも含む)以外には1階は赤と黄色の2色、2階は緑の1色で、最大4色となっている。これによって家具の放つ色合いが統一されている。逆にポスターや本(とくに児童ライブラリーにあるもの)で様々な色があるので家具と比較すると目立つようになっているように思われる。


すでに書いたように、家具はカラフルに、という方針であり、それが何色、というのまでは明確にしていませんでした。モノトーンなはずの建築ですが、7階の床のカーペットがグリーンになっています。もともとはグレーで現場を進めていましたが、ラブグローブさんがこの階の家具を「知の庭」として考えたいから床もペパーミントグリーンにしたいがどうか、と伊東さんに提案されて、伊東さんがそれに乗った、という経緯もありました。


第三に、各エリア(A〜E、Fのオープンスクエア・カフェ・休憩所)で家具の統一が行われており、他のエリア同士で家具の混合がないということである(クローバーチェアを除く)これは例えば会議室では大人数で用いるために、またカフェにある椅子は背もたれや肘掛けがついており長時間座っていても苦にならないようになど、各機能に応えるように設計されている、または家具を選定していると思われる。しかし逆にエリアと家具は対応しているが、空間の座標と対応しているのかは分からない。この点で家具のデザインは空間に対しては比較的おおらかであると思われる。


いささかわかりづらい文章ですが、まあおおむね言っている理解は正しい、というかあたりまえの理解以上になっていないように読めます。家具の位置まではそう厳密に決めていないです。もちろん完全に固定されている家具(2階でいえば白のカウンターやガラスのマガジンラック)は施工時に固定位置を座標で指定しますが、その座標自体に深い意味を見出す必要はないです。



クローバーチェア

クローバーチェアについて考察してみた。妹島和世デザインのclover-chairは単体で複数人が使うことができ、座るひとが他人でも顔見知りでも使いやすいように設計されている。また公園のベンチのように椅子にも机のようにも使える。密集させれば大きな水平面をつくれる。



心得:二階の家具は大雑把に二種類に分けられます。ひとつはオフィスデスクや資料収納など使用者向けの事務用の家具です。もうひとつはTUBEに沿って配置している曲がるテーブルなど利用者向けの家具。事務用の家具は仕事の効率に配慮し、使いやすい規則の形でできた一方、利用者向けの家具は有機的な曲線を多く用いており、TUBEと連携し、変化の豊富の空間を演出します。


そうですね、使用者=管理者向けは多くはバックヤードなので既製品で、利用者向けは多くは目につくとことなので特注品や、既製品でもいいものやデザイナーの署名のされたものを入れています。



◇The furniture researching sketch of Open Square & Cafe = 1 F
心得:一階のテーマはオープンスクエアであり、主な機能はイベントや飲食、または休憩です。家具の特徴も機能に従い、たとえカフェのテーブルをオープンスクエアに移動すると、違和感が出ます。逆にClover Chairをカフェに移すと、色のコーディネーションは、TUBEの色調である白と黒は一階の家具の基調となり、オレンジ色や赤や黄色や緑など生き生きの明快の色で空間を飾ります。そして素材の変化も豊富です。思考テーブルの天板の木、食卓を構成するプラスチックやスチールや樹脂、またはClover Chairの革の表面や中身の低反発素材など様々な素材からできた豊かな触感を体験できます。


竣工時のクローバーチェアはスポンジ素材に塗装しただけで不思議な触感を持っていました。残念ながら使用とともに表面に穴が開けられるようになり(ペンなどを突き立てたいたずらによるもの)今では化学繊維のカバーがかかっていると思います。5、6階ギャラリーのホワイエにあるカリムのカラフルのソファも、汚れが目立ってたまに洗濯に出しているようですね。


Q: ここにいくつの不明点がありますが、まず、カフェの食卓の真中の突起は何のことでしょうか。またその食卓の脚の二つが太いが、残った二つが楕円の断面で細いです。これは何か特別の理由もしくは意匠が入っていますか。 


これはカリム・ラシッドの設計で、その意図については説明を受けていません。おそらく箸や調味料を置けるスペースとして計画されたのでしょうが、使われていないようですね。7階のラブグローブの設計は、「知の庭」であり、AVラックやベンチの形状は「発芽」をモチーフにした形状をしている、という説明を受けました。伊東さんも気に入られていたと思います。そのあとサーペンタイン・ギャラリーの家具も彼にお願いしているわけですし。



◇The furniture researching sketch of Open Square & Cafe = 1 F
THINKING TABLE:地震のあと、一階はOpen Squareでイベントのないとき、木の素材の長いテーブルを二つずつ組み合わせ、ボランティアの集合地点となります。需要によって、テーブルが作業台になり、正方形の大きな食卓になり、様々のパターンで組み合わせることが可能です。


このテーブルのことは知りませんでした。竣工後にこの地震のためにつくったのでしょうか。ぜひ写真を見せてほしいですね。



◇The furniture researching sketch of AV Library = 2 F
VIDEOCLIP SHELF:二階の映像Libraryに設置している映像媒体の収納棚です。棚を支えている端の鉄棒は地震が起きるとき、激しい揺れがあっても、棚が転倒しないように、床に挿します。利用者の安全面に配慮しています。また、その収納棚は緑の色で、まるで土地から生み出した芽のイメージがあり、利用者をリラックスさせます。


これ、写真がないのでわかりませんが、もともと7階にあったラブグローブ設計のAVラックのことですよね。すでに述べたように、これは「発芽」をテーマとしていて、数年前の館内レイアウト変更に伴って7階から2階に降りてきたんでしょう。



◇The furniture researching sketch of Children Library = 2 F
BOOKSHELF:二階の児童Libraryの家具のスケッチです。児童Libraryの本棚や卓などの寸法はすべて子供のScaleに則し、さらに視界を考慮して定めています。空間も本棚の配置によって分割されます。




◇The furniture researching sketch of Meeting Room = 2 F
Conference TABLE: 二階の会議室のイメージです。三角の形の会議用テーブルは六つのpartitionに分解できます。そして卓の裏の脚はローラーがついており、簡単に移動し組み合わせられます。


各室のサインに気付きましたか?赤いスチールのプレートに白字で室名が書いてあります。2階だとおはなしの部屋とか会議室についています。あれはスチールでできていてマグネットが効くので、A4のチラシなどをそのままマグネット固定している使い方を想定していました。たとえば会議室内で開かれているイベントのチラシをそのまま(テープを使わずに)マグネットで貼る、とかですね。



◇The furniture researching sketch of Clover Chair = 1 F
CLOVER CHAIR:CLOVER CHAIRはせんだいメディアテークの家具の最高傑作とも言えよう。二人で座る向き合いながら話している恋人同士、三人で座る同じ方向へ講壇に面して受講する学生たち、あるいは一人で座り友達を待っているおじいさん。みんながクローバの葉っぱに座る方式が異なり、CLOVER CHAIRの可能性の豊富さを表しています。面白いのは、CLOVER CHAIRは椅子の背がないので、長時間座るのは少し辛いかもしれませんが、使う人は他の椅子より少なさそうです。


2.センタースクエア実測

 次にセンタースクエアの実測について。
大学内の食堂。学内ということで家具の詳細図面も手に入ったので、寸法や素材などの詳しい情報を入手できました。(↑センタースクエア家具リスト)


以下特に気になった点。
【カウンター2】


・作業方向は2種類。①建物全体のメイン動線の方、その先には大開口。②食事スペースの方。どちらも座面・基面が高いため視点は直立の人に近い。←ここは建物のメイン動線に接しているから。
・基面は柱間に調度収まる部分と、柱を避けるように伸びた部分がある。屈折部は奥行きがとれ、1台の中で場所性が異なる。
・柱の配置に家具の配置、形を噛み合わせることで柱が仕切りの役目も果たす。
・柱と脚のラインを揃える→デザイン性、韻

【テーブル3】
・視線は主に食事のスペースなので、視線は自然と白いテーブルへ。または一緒に食事をしている人へ。
・高さは同じだが違う基面のタイプ(正方形、円)が複数ありランダムに配置。全体としては長方形の枠に収まり一体感あり。

 
【ラウンジベンチ1】


・開口付近に位置しているため、建物外部へ。また水平を基調としたラインが利用者や物(荷物)を際立たせている。
・柱間のスパンに合わせたプロポーション。またこの配置でできたラインにより動線が遮られ、他と空間の質が異なる。
・食事以外の目的としてもよく使われている。


【照明】


(左)ダイニング1のシャンデリア  縦に伸ばした蛍光灯が吹き抜け空間全体に垂直性を与えている。
(中)ダイニング2前の照明器具
(右)ダイニング2の照明    天井の照明とは別。円状のパイプにスポットライト。円形のパイプにはカーテン取り付け可能


センタースクエアの家具と空間の関係性について
 プラン中心のダイニング空間はもともと2列の柱によって空間が3つに文節されている。家具もそれに沿うように3種類扱われ、用途もそれぞれ少しずつ異なっている。また柱に家具のプロポーションをマッチさせていることも分かった。柱のライン、方向性に合わせた家具配置、動線分け。柱間の寸法に合わせた家具のプランニング。
これらのことから全体としてこの建物の家具はもともとある空間の特性を強化していると言える。また限られた材料で複数のバリエーションを生んでいる。コスト面はかなり抑えられているそうだ。
 せんだいメディアテークとは家具に対してのそもそもの考え方が違うのかもしれない。比較対象としては意義があるのでは。


ここでセンタースクエアの家具を担当された藤江和子さんについて

(↓担当された多摩美術大学図書館の家具の写真)

藤江和子さんは、
「家具というのは人間が空間に関わる際のある種の手がかり。
要するに、建築と私たちの間に存在するもの。」
「建築との関係、空間の使われ方をイメージしてかたちを考えていきます。」

と語っている。そこを使う人々は家具に案内されて空間の良さや使い方を家具に紹介してもらうイメージを受ける。また彼女が目指したものは、自分だけの家具の特別な使い方を見つけられる、そんな使い手に誘発力を促す家具なのではないか。


3.smtとセンタースクエアの比較

【場所との関係性】

smtについて、
伊東豊雄さんが「家具だけで場所をつくった」と語っているが、この言葉は「あの家具があるから僕はここで◯◯を行うんだ」というように家具が人の行為を誘発しているものと解釈できるのではないか。つまり、家具を動かすと、場所の使われ方も変化するフレキシビリティをせんだいメディアテークは持っている。

一方、センタースクエアは、
多摩美の図書館などで家具を製作した藤江和子さんが家具を担当した建築。ここの家具も「家具が人の行為を誘発して」いるのだが、同時に場所と家具が強い関係性を持っている。つまり、場所ごとの特徴を家具がうまく引き出している。なので、この建築は家具の場所を自由に変えにくい、変えると全体の配置バランスも崩れ、移動した家具が個としてすっかり浮いてしまう可能性もある。


smtは、原っぱにもの/家具を置いていく、だからものが溢れると原っぱの良さが陰ってしまう空間なのかなと思う。建築空間に対してそこを使う人が自分にあった「家具のあり方」を見つけていくような家具と建築と人の関係を見つけたい。(北本)


そうですねえ、伊東さんのメディアテークはユニバーサルな空間にチューブというイレギュラーなものが貫入して各階に異質な場所を作りだしているわけですが、家具もそれでいうと、ユニバーサルな空間の中で、(チューブほどとは言わないけれど)空間をかき回し、異質な場所性を作りだしている道具群なわけですね。だから家具は多少ソリッドに、彫刻的に置かれていると言えるのかもしれません。それに対して藤江さんのここでの例は、もう少し場所によりそって、建築と家具の境界をあいまいにしようとしているように私には見えます。みなさんは今回の改修で家具をどう位置付けますか。


4.まとめ
今回のスタジオで松原先生が仰った「ルール」小野田先生の仰った「韻」という点でsmtの家具を見てみると、家具によって空間とその機能などが決定されるという印象を受けました。空間に機能が割り当てられ、機能別に家具を設置していくという手順とは逆のものです。これは2010年のレイアウト変更時2階映像音響ライブラリーが拡張することができた、また震災後に2階にあったクローバーチェアを1階に持ってきていることに由来するものです。藤江和子さんの建築空間と極度にシンクロした家具デザインとは違い、使う場所に関してはおおらかで、来館者や従業員が自由に使っても良いように設計しているということを感じました。この点でも敷地や建築・家具の設計者によって「ルール」がまったく異なることを再認識しました。家具自体の考察では妹島和世のクローバーチェアが様々な行為を許容できるように設計されており、ヒトの行為に対して一義的な設計とは一線を画す代物であると感じました。ここからわたしたちモノ班は、家具とヒトの行為の間にある多様な関係をより分析していきたいと思います。6月2日を以ていったんリサーチ班は解体され、設計班に再編成されてこれからは実際のデザインに踏み込んでいくわけですが、引き続き設計に支障のでないように分析を続けていこうと考えています。


いいんじゃないでしょうか。あまりクローバー家具を神格化せず、みなさんなりのさまざまな行為を許容する家具を考えてみてください。
 伊東さんの初期の作品の多くは大橋晃朗さんがやられています。八代の博物館のそれは衝撃的でした。同世代の倉俣史朗さんのことなども調べてみるといいんじゃないでしょうか。


5.質問項目
・smtの1階にある家具は屋外で使用することは想定されていたりはしたのでしょうか。オープンスクエアのある1階は都市に対して開かれた空間であると思われ、ならば1階に存在する家具は屋外で用いることは考えていたのかと思いました。


今館内にある家具を屋外に置くことはあまり話題になりませんでした。屋外だと実は見落とせないのは敷地西側にある駐輪場の屋根です。あれは柱こそステンレスでカバーしていますが、ほぼアルミでできている構造体で、のちの建築基準法の改正によるアルミ建築物の建築可能性のさきがけでした。あれはエンジニアリング的に先端を行っていたし、同時期の伊東さんのブルージュ・パヴィリオンやアルミエコハウスにつながるものですが、smtのあの駐輪場はあまりそれ以降注目されてません。ループルのメディアテーク前の屋根をアルミで作らせてもらう話もあったんですが、結局そうなってませんよね?


曼荼羅の手順について、何か指摘があれば。
・家具とヒトの行為と空間について特に検証している建築家がいれば教えてください。現代近代古代関係なく。


いろいろ事例も作家もあるんじゃないでしょうか。近代日本だとやはり篠原さんの弟子と大橋さんの関係が大きいだろうし、イタリア人建築家なんてみんな家具やっているでしょう。


・家具の使用人数という要素を表にてつくりましたが、実際にその家具を使うヒトとその家具に座っているヒトと話すヒトなど家具一つに関連するヒトという視点では多岐に渡ってしまいます。このような複雑な項目をまとめる手法など実践的な例があればご教授ください。


質問がどこのことを言っているのかつかめない。


・こどもの丈にあったクローバーチェアを制作するような話は持ち上がったりしましたでしょうか。


これはとくになかたっと思います。妹島事務所の中でどういう話があったかは不明ですが。あまり子供のため、っている話はなかったですね全体的に。2階の子供図書スペースだけでした。


以上が今回のモノ班のリサーチ内容と質問項目です。
松原先生、エスキスの方よろしくお願いします。


まだどうもみなさん硬い気がします。もちろんこれはお勉強だから、なにかモノをみてその背景の理屈を読み取ってほしいんだけど、あまり細かいところに深すぎる意味を見出そうとしたり、どうでもいいようなことに目を奪われ面白さに気付かない、という部分がまだあるような気がします。まあこれは経験がないと仕方ない部分もあるんだけどさ、しかし建築を考え設計する面白さから離れなければ、おのずと着目すべき点もそうずれない気がします。もっとすなおにかっこよくきれいなものはなんでできているのか、という目でこの建物を見ることが必要です。理屈がいくらあってもできるものがだめならそれはまったくだめなわけです我々のやってることはさ。だから、よくよくその背景に目を配りつつも、メディアテークのもとからあるかっこよさにしびれながら、よりしびれちゃうような改修を考えてほしいですね。これは難しいようでいて、そう理屈っぽいことではないし、本来とっても前向きで楽しいことのはずです。ものつくりをしているんだという意識をわすれず、このあとの作業を進めてください。


松原弘典/110605湘南台

都市計画について




仙台市の都市計画の歴史について
 <図1、2、3>
 資料集成を見ると、仙台市都市計画歴史年表に「せんだいメディアテークの完成」も加わっており、都市の中で重要な建物として位置づけられていることが分かる。戦後の復興も公共交通体系を重視し、かつての仙台の市街地規模に適合する市電系統を生かし中心市街地のネットワークが自然に形成される骨格パターンを採用している。その後もこの骨格を保持したまま都市計画が進められており、歴史の流れを蓄積しながら発展してきた都市であるといえる。
 2000年の仙台市中心市街地活性化基本計画を見ると、せんだいメディアテークは都市計画の行政コア、都心住居、にぎわいのシンボルゾーン等の結節点に位置している。中心市街地の商店街アーケードから賑わいをどう呼び込むか、定禅寺通りのデザインが重要である。


時間班、なかなかよくまとまってます。都市計画について、あまり言うことはないけれど、smtが完成するころにちょうど観光環状バス「ループル」が開通しました。メディアテークの前にバス停を作るというので位置を市と協議したのを覚えています。竣工間際にはメディアテークの北側にミニ映画館ができたり、カフェの開業が集中しました。こういうのって公共建築が街を変えている具体例だなと思った記憶があります。つまりこの建物はもちろん大きな計画の中に位置づけられているんですが、これができることでミクロに周囲に影響を及ぼしているわけです。それに気付くことが重要。みなさんの構想する改装計画も、そうした影響を及ぼしうる力を備えるべきです。そこでイベントが起きれば周りになにか波及があります。
よく話すいいエピソードを。7階では今でもシニアネットの方々が会議室を使っているのでしょうか?高齢者のヴォランティアグループで、企業から寄贈をうけたパソコンを使って高齢者にPCの講習会を開いている方たちです。竣工後に一度お話を伺ったことがあります。smtができる前はこの活動は別のところでやっていたそうですが、ここに移ってから参加する高齢者の服装が変わったとおっしゃるんですね。それは7階だとまわりに若者が多く、やっぱりそういう人たちに囲まれていると高齢者も自分から身だしなみに気を遣うようになると。建築は人の流れを作り、人の所作を変えます。





仙台市のイベントについて
 <図4、5>
 図は、仙台市の主なイベントの活動範囲を示したものである。「青葉祭り」や「とっておきの音楽祭」「定禅寺ジャズフェスティバル」の際には、活動が面的に広がっている。一方でクラシックフェスティバルは活動が点であるが、ホールの隣接する地下鉄駅4つを連結させて「仙台市」を広く用いている。「七夕祭り」は商店街アーケードが中心、「光のページェント」は定禅寺通が中心となっており、どちらもメディアテークも会場となっているが、イベントへの関わり方や位置づけは異なると思われる。






■smtでのイベント実施の型■

smtにて行われたイベントについて、下のような表を作成し、これをもとに分析をしました。


これいいですね。伊東さん見たら喜ばれますきっと。みなさんの改装案はイベントも一緒に企画してこういうダイヤグラムまで描くとか、あるいは今のイベントを改修前後で比較するとこのダイヤグラムがどう変わるかまで描いてほしい。



 大きなイベントや催し物の際、複数のフロアを連動させて行われているイベントがある。その中で、7Fが連動されているもののみをピックアップした。以下に取り上げた代表的なイベントだけでなく、7Fを含むフロア連動型のイベントに多く見られる傾向として、
 1F、5F、6Fで講演会・ライブ・インスタレーション・展示等の、市民の交流を促す催しを行っている際に、
 7Fではその内容を補完するような、やや小規模のワークショップや映画上映に使用される事が多いことがわかった。普段できないような制作の体験が出来たりするが、一方で展示等の内容の専門性が高くなってしまっていたりもする。

<としょかんメディアテークフェスティバル>
時期:年に一度、1月末に一日のみ開催
主催:としょかん・メディアテークフェスティバル実行委員会 仙台市民図書館 せんだいメディアテーク

手で読む本の展示や、絵本の中のシーンやお料理を再現するなど、ただ読むだけではない、新しい本の楽しみ方をバラエティ豊かに提案。

「シャワー効果」
7Fのアプローチしやすい位置に人気団体 (絵本の交換) を配置。利用者は7Fの後に各フロアを降りながら回っていく。効果として、1F・図書館・たまに7Fの会議室しか利用しないような主婦層も、絵本の交換には多く来たり、毎年同フロアで奥の方でやっている映画上映の団体の客数も、前年度に比べて増えるなど、7F全体へ良い影響が出た。


7階のシアターでフリマ関係のイベントしたときはすごかったですね。ゴスロリ系の若者がシアター付近のエレベータを埋め尽くしてた。ああいう使用者のミックスを建築が起こせたら面白いです。「シャワー効果」っていささか古くないですか。今ではもう少しいろんなマーケティング手法はあるでしょう。百貨店の各階のエスカレータ周りにベンチを置いたりするのが最近だと目立ちますね。


<仙台短編映画祭>
from 2001
時期:毎年9月〜10月に3、4日間開催。
主催:仙台短篇映画祭実行委員会、せんだいメディアテーク

仙台市内ではスクリーン上映される機会の少ない「短篇映画」をぜひ多くの人たちに観てもらいたいという思いから始まった。

上映実績ー年によって幅有り。おおむね20本〜40本ほど。
<せんだいデザインウィーク>
from 2004
時期:11月半ばや「SENDAI 光のページェント」の期間に合わせて、1週間ほど開催。

仙台を中心とする東北のデザイン団体が集結し、「せんだいデザインウィーク」として開始したユーザー視点のデザイン啓蒙活動は、韓国中国等の東アジア地域を含めたグローバルなデザインの交流をめざしており、

・参加団体
  宮城県印刷工業組合(DGT)
社団法人 日本ディスプレイデザイン協会(DDA) 東北地区
社団法人 日本建築家協会(JIA) 東北支部宮城地域会
社団法人 日本サインデザイン協会(SDA) 東北地区
  社団法人 インテリア産業協会東北支部
  宮城インテリアコーディネータークラブ
  仙台クリエイティブ・クラスターコンソーシアム
  東北芸術工科大学産学官連携プロジェクト


・期間中全イベント
展示: ex. デザイン団体独自企画展示、街中グッドデザイン展、
企画: ex. アジアとのデザイン・コラボレーション、デザイングランプリ TOUHOKU、オープニングパーティー

セミナー: ex. でまえセミナー 、デザインセミナー








<せんだいデザインリーグ卒業設計日本一決定戦(SDL)>
from 2002
時期:3月10日前後から1週間
主催:仙台建築都市学生会議、せんだいメディアテーク (smt)

公開審査とその後の展示を行う。
来場者数は年々増加し、今では4000人を越す。


<開館10周年記念イベント>
2010年 10月中旬〜12月26日

ABCの3事業有り

A:展示、アートプロジェクト
  @1Fオープンスクエア、1Ftube付近、smt6Fギャラリー4200、smt3F市民図書館、smt7F美術文化ライブラリー、7Fスタジオ
  主催:仙台市民文化事業団

B:トークセッション
  @smt1Fオープンスクエア

C:映画上映
  @7Fスタジオシアター
  3期(4日間)、各複数作上映



ヒアリングで浮かび上がった事




 ヒアリングから浮かび上がった問題点を図面上に示しました。これまでカーペットであったために実現されなかったフロア全体の飲食の解禁をしたいとの事。また自由なレイアウトになっているものの、ガラス張りである事や、家具の移動しづらさからの制約が大きかったことがあげられました。隣の声が聞こえるという距離感は受け継ぎたいとおっしゃっていました。また、自分たちの利用している実感として、7Fはスタジオは予約して利用するような印象があり、ふらっと利用しづらい先入観のようなものがあったり、また勉強している人が多く、利用者が固定している印象があります。


これはいいヒアリングのまとめですね。こういう事実に対してどう向き合うか、というところからデザインを始めてください。これらのまとめは考えるに値するポイントになりそうです。





 改装にあたって、スタッフの方はこれまで以上の外部との連携・発信の強化を考えているということがヒアリングから浮かび上がって来ました。なかでも気になった、USTREAMスタジオについて、要求される物として音響・映像・証明・配信設備をあげてみました。なかでも防音と照明をどうするかは設計に大きく影響しそうに思いました。


まあそう難しくないんじゃないでしょうか。音と光の問題だけだったらsmtの中でしたらどこでも拾えるわけだし。音を隔てるためには今館内で使っているセメントパネルで、OAフロア面下のコンクリートから天井上の耐火被覆上の鉄板構造までをふさげばいいだけです。トイレの外周壁と同じ扱いでできます。
 そういえば設計のとき、テレビ放送ができる対応を考えました。2階から上の西面の一番南側のドアを見てください。そこにはドアの下に20センチ角くらいの小さな開き戸が別についているのがわかるでしょうか。これは床上を転がす通信ケーブルを通すためのドアです。2階より上の西側壁はすべて防火区画なのでドアはスチールの防火戸で各階はデッキでつながっています。開館後に各階のイベントにテレビカメラが入るようなことが発生したら、1階に電源車が来てカメラが各階に入り、同軸ケーブルがカメラと電源車をつなげる必要がある。ケーブルは西側の避難階段を使い、室内外のケーブルのまたぎは南西角のドアにしようと想定したんでした。これはドアの詳細を決める直前にNHK仙台放送局にヒアリングに行って小ドアの寸法やケーブリングの実際をヒアリングして決めています。今は全部無線で飛ばせるからもっと楽でしょう?あまりシリアスにならないでもいい気がします。ぜひUSTREAMスタジオ考えてください。





ここからは〈ゆるやかな組織体制〉について考えます。
ヒアリング内で、smtの支援を受けて、smtの外へ飛び出して、現在活躍している団体がいくつかあるというお話を伺いました。
そこで時間班では、smtとは市民や企画団体や企業などをマッチングする機会を提供するシーンである、という共通の認識をもちました。メディアセンターとして情報を発信しているだけでなく、外のブランチになっている可能性に焦点を当ててリサーチを進めました。

下記で挙げる、およそ60の団体はsmtにとっての活発な顧客だと、捉えることができます。顧客たちが年に数回開催する大イベントや、小さな集いをsmtは見守ってきたようです。その団体の規模や、目的に合わせたアドバイスに始まり、時には連携を生みそうな企画者同士の親交を繕ったり。そのようなことから、せんだいと言えば…というイベントがsmtを拠点として誕生している背景がわかりました。

また内部の組織形態からも、スタッフからの企画や持ち込み企画等が、同一の層でやりとりされていることを知り、大きな可能性を感じました。外部ディレクターの介入なく、これまでのイベントを繰り広げられたことを基盤に、かつてなかった運営モデルの提案などにも学生サイドからアイデアを出せる機会かも知れません。



これは、具体的にsmtが市民団体とイベントを発生させるときのスタンスについてです。民間の規模では、予算が成立しない場合にsmtが主催となって、補う姿勢をとっていることが分かります。


へーこういうのは知りませんでした。なにかこの再設計を機会にみなさんでイベントをしかけたらどうですか?




ここでは事例として〈シアトル図書館〉を挙げます。smt同様、従来のフラットな図書館を問題として掲げ、フロア同士を切り離し、一部を縮小または膨張させるというアイデアを提案しています。
またヒアリング内でsmtは10年間で、pcのスペックは目まぐるしい変化を遂げたというお話を聞きました。そこで、これらの建築と情報の時間的な変化をデザインキーワードにすることにも可能性を感じています。



5Fの情報中枢エリアはまさに転換を迎えようとしているライブラリーを象徴的に表していると思います。個人的にはチャットによるレファレンスなど、わくわくするアメニティに溢れているように感じました。

また、シアトル図書館を代表に、アメリカの図書館ボランティアについて調べました。アメリカの公共図書館は、コミュニティの文化の拠点として地域住民と密接に関わりあいながら発展してきたことで、住民は利用者として図書館を利用するだけでなく、図書館を支えるためにさまざまな活動を行っています。その多くはボランティアによって支えられており、「図書館友の会」を基盤として活動することが多いそうです。図書館ボランティアは、図書館と一般住民を結ぶ架け橋として、アメリカの公共図書館において欠かせない存在となっています。

「図書館友の会」とは、図書館の支援を目的に設立された団体で、友の会の支授形態は多様であるものの、資金調達活動はその中核的な活動となっています。図書館友の会は個々の団体により活動は異なりますが、図書館サービスのアドボカシーを目指すという点で共通の理念を持ち、その理念を実現させるためにボランティア活動を含む様々な支援活動を行なっています。

また興味深い点としては、友の会の多くは会員制であり、会員は会費を納めて図書館支援活動に従事することが挙げられます。たとえばクリーブランド公共図書館友の会の会員制度を例にとると、高齢者・学生会員($10)、個人会員($15)、家族会員($25)、「収集家」($50)、「愛書家」($100)、「守護者」($500)のランクに分かれ、また友の会のメンバーになると会員種別によって異なるいくつかの特典が用意されているようです。

活動としては、図書館アウトリーチプロジェクトとして病院に図書を配送するほか、乳幼児プロジェクトでは、病院で新生児と母親に図書と役に立つ資料を配布したり、夏季には読書会、スライドの映写会、作家を囲む会、朗読会などを主催しているようです。

友の会では館長、図書館理事会、図書館職員と連携を取りながら、図書館とコミュニティに対して図書館活動にかかわる様々な活動を行っている点など、smtを母体とした場合のイメージなどに何か還元できるかも知れません。


そうですね、シアトル以外にもいい例があるでしょう。図書館だけでなく、先進的な試みをしている公共建築というのはあるでしょうから。イギリスのエデン・プロジェクト(ニコラス・グリムショウ設計のミレニアムプロジェクト)も、巨大な工業遺産を植物園に再生した例ですが、確か入場料じゃなくて寄付金として来場者からお金を徴収して税金支払いを抑えているとか聞きました。あれも地元の市民グループがかなり施設の運営にコミットしているそうです。調べてみてはどうでしょうか。

あとはどうやってこれらのばらばらな事実をデザインに結び付けていけるかですね。みなさんに期待しています。

6/2 空間班 ネットチェック

空間班のリサーチ結果です。(片桐、佐藤、中村、遠藤)


空間班はいきなり細部の確認にいってしまったったようですが、これから再設計で大事なのは、建物全体のバランスの中で、7階(と2階)をどう考え直すか、それにふさわしい材料をどう設定するか、ですから、常に全体をみることを忘れないように。
おすすめの図面は『伊東豊雄/ライト・ストラクチュアのディテール』(伊東豊雄建築設計事務所編著、彰国社、2001年)の222−223ページの各階断面図です。あれには壁は出てきませんが、smtでは壁はほとんど存在しないものとして設計されましたから(主張しないセメントパネルや西側の壁にミラーを貼っていたり、カーテンを吊るしているのはそういう意図と関係しています)、天井と床がわかるあの図面が大事なのです。あそこに書いてある材料が全部わかりますか?あのなかから今回新しくみなさんが使う材料を決められれば、自然に「その場所にふさわしい」建築にできると思います。
 それから各階に名前がついていることを思い出してください。エレベータの各階表示にも描かれているし、NTT出版のコンセプトブックにも書いてあるでしょう。1階はplaza、2階はinformation、3・4階はライブラリー、5階はギャラリー3300、6階はギャラリー4200、7階はstudioです。設計のときは(現場に入ってからすらも)このネーミングを設計チームは延々と考えていて、それにあった内装材を決めようと延々とやってました。他にもloungeとか、待合室、lobbyなどのネーミングも候補に挙がっていました。1階は空港の待合室みたいに人がしょっちゅう出入りしているとか、7階はラウンジ的にすこし会員がゆっくりできるゾーンのようなイメージがあるとか、いろいろ考えて、それにふさわしい材料を考えたわけです。
 7階は家具を設計したラブグローブさんが家具設計に際してこの階をthe garden of knowledge(知の庭)と名付けました。ネーミングは重要です。そしてそれがみなさんのデザインの方向を決め、ドライブさせてくれますよ。ぜひいいアイデアを出してください。詳細云々はそのあとでいい。骨格を示すことです。


1.細部の処理について


1、1F detail

・床の大理石の目地は、張り付いている点字ブロックやサインや設備にほぼ合っていて、600角のモジュールを基準にしていることが分かる。
・内壁に関して、壁についている設備、ロッカー・水飲み場・コンセント・自動販売機・建具は、壁の目地に合っていて、きれいに収まっていた。
・床と壁(押出し中空セメント)の目地に関して、合っている箇所が見当たらなかった。
・床と天井に関しては、ルーバーのつなぎ目が大理石の中心に来るようになっていたり、可動壁のレールと防煙たれ壁は、大理石の目地と合っていた。


設計のときは、床は床で、天井は天井で、きれいな割り付けと目地管理を目指していました。天井や床になにか取り付く場合はもちろん寸法を調整しています。ただ床と天井が目地がそろっているというのは結果として偶然そろっているだけです。メディアテークは「空間の原理」がそのまま立ちあがっている建物です。床は床面が永遠に均質に、天井は天井で永遠に均質に連続していればよかった。それがたまたま敷地の形状で切られて途切れているだけです。床と天井(と壁)が目地がきっちりそろっている必要はありませんでした。内部空間は床・壁・天井の3つの面で囲まれた閉じた空間としてではなく、どちらかというと連続床面と連続天井面の間(しかもその間の寸法(=階高)は階によって違う)として定義されている、という作られ方です。


Q1.1F部分に関しては、定禅寺通りのタイル(600mm角)が基準になり、それとスムーズに接続するようにモジュールや素材が選ばれている?並木とファサードの関係は?


1階の内部床はギリシャ産白大理石で、外部は桜御影と呼ばれる桜色の御影石です。1階の南側外部は少しだけメディアテークの敷地があり、そこはsmt工事で桜御影石を貼りました。それは当時定禅寺通りの整備計画があり、桜御影を貼るから同じものでそろえてくれと言われてそうしています。今見ると、実はグレーチング側溝の北側がsmt工事の桜御影で、南側が市の定禅寺通り整備工事の桜御影なんだけど、ぜんぜん色が違っちゃってるんですね。smt工事のほうは内外床石材とも含浸性の防汚塗料を塗ったのでそのあと汚れがつきづらくなって今でもまだ桜色がなんとなくわかる。整備工事のほうは石そのままを貼っているからか、今はだいぶ色が退色してます。5年検査のときにゼネコンの人が、あのときケチらないで防汚塗料塗っといてよかったですね、と言っていたのを思い出します。まあこれは本題とははなれますが。

ともかく、石の素材は同じですが、工事範囲の異なる領域の間にはグレーチングがあり、目地はそろっていないはずです。それは設計当初からわかっていたし、それでいいと思っていました。外のケヤキ並木とファサードは、とくになにか強い関係があるわけじゃないですが、建物南面はけやきを映しこむきれいなガラスのダブルススキンになってます。設計の途中で、チューブの柱の間隔が前面のケヤキの感覚と似ていることに気付いた、っていう記述をちゃんと見ましたか?『非線形の出来事』に伊東事務所の設計チーフの東さんが書いてます。


2、2F detail

・松原先生のコメントにあった通り、1Fに比べると、目地が合っている箇所が少なかった。
児童図書館内のチューブ周りに、子供のケガ防止用?のゴムが設置されていた。細かい配慮があった。


細かい配慮は、設計時のものもありますが、使用開始後に使用者がつけているものもたくさんあります。なかには設計者が見るとぎょっとするようなことも少なくないでしょうが…まあこの建物はそういうの少ないと思います。2階のエスカレータの両側にポスター貼る位置を確保するなど、使用後のことをいろいろ考えながら設計しましたから。


Q2.2F,3Fに上るエスカレータは南側に向いて登るようになっている。これは視界が開けるときにチューブと並木が一体となって見える視覚的効果もねらっているのか?


いや、それはあんまり考えてないでしょう。まあエスカレータの設置向きは今のと逆でもいけるわけですが、それでいうと上がったときに南側向いている今の方向は的確ですね。


3、3F detail

・エレベーター・エスカレーターから降りると、手で触るサインがすぐ近くにあり、そこから一直線で点字ブロックが伸び、受付カウンターが配置されていて、障害者への配慮が配置計画から読み取れた。
・裏の事務スペースにおいて、荷物で溢れていて収納が足りないのではないか?窓が少なく、光が足りない。


図書館さんについては、いろいろ不思議な部分があり、狭く感じる部分もあるでしょう。ただ地下2階に巨大な30万冊以上入る集密書架室があり、図書館には十分なスペースが当初から計画されていました。


4、7F detail

・エレベーター・エスカレーターから降りると、手で触るサインがすぐ近くにあり、そこから一直線で点字ブロックが伸び、受付カウンターが配置されていて、障害者への配慮が配置計画から読み取れた。
・裏の事務スペースにおいて、荷物で溢れていて収納が足りないのではないか?窓が少なく、光が足りない。


今回のみなさんの設計で収納スペースをどう考えるかは重要でしょうね。もちろん施主の意向を確認するべきだし、今のすでに持っているものをどうするかという点も考慮しないといけません。一方でスペースがあるとそれにあわせてモノも増えていくものです。どこかで線を引かなくてはいけないし、それは設計者の仕事でもありますが、使用者にも継続努力していただく必要があります。


Q3.曲線の決め方のルールが未だに発見出来ていない。壁面を変更する場合、そのルールに従うべきであろうが…。


7階壁面のアメーバカーブのことですね。まあ必要な諸室を真ん中に集めて、チューブなどに対応しながら決めていった自由なラインですから、みなさんなりの曲線を引き直せばいいでしょう。なにも曲線にしなくてもいいし、中央アイランドにする必要もありません。ただしきちんと幾何学的に決めたラインにすること。ベジェ曲線はだめです。曲線をどう定義しているかは、お渡しした7階の平面図キャドデータを見ればわかるはずです。細かい曲線の集合ですが、それらが中心と半径が与えられていることがわかりますか。そうしないと、図面情報は他人と共有できません。


5、7F 天井

蛍光灯の角度が6パターンに分類され、同一角度の蛍光灯は同一軸上に乗っている。


Q4.サーペンタインのように、アルゴリズムやあるルールが隠されているのか?(蛍光灯の直線を延長しても同じ軸上に乗る訳ではない)


あるエリア(5m角とか、10灯くらいのまとまり)の反復です。そのルールは今度知りたい人には教えますが、それを厳密に知ることはこのスタジオではあまり意味がない。みなさんなりの新しい天井を考えてもらって結構です。設計当時はアルゴリズムという言葉はあったけど、まだ今のように直接的に設計手法として使われる言葉ではありませんでしたね。目安としてはあの面積だとこれくらいの灯数の蛍光灯があれば大丈夫なんだ、と思っていただければよいです。どう灯具を位置するかはみなさんが考えればいいです。もちろん蛍光灯でなく、設計によってははやりのLEDや、別にダウンライトなどでも結構です。


2.被災マップ


 プロフィリットガラスやルーバー、等の破損状況をプロットした。特に南面の破損が目立つ。南面天井の被害が大きかった事と関係がありそう。現状で無事だった材料をそのまま保持するなら、このマップを基準に考えたい。


現状無事だったものをどこまで残すかはよく考えてください。あえて残すほうが面白いというのもあるでしょうね。プロフィリットをやめて新しい壁仕上げでアメーバ壁面位置は変えない。あるいはアメーバの位置を南側だけ変える、あるいは間仕切りを全部作り直す。どれも可とします。


3.矩計図

①2F 床、天井

②6F 東側壁面

③6F 西側壁面

④7F 天井



Q5. 曲面の壁の平面的な位置の変更は可能か?(プロフィリットガラスや押し出し中空セメントを支持している構造は移動できるか?固定なのか?)移動出来るならば、どこまで解体し置き換えるのか?固定であれば、どのような材料で代替可能か?(同じ寸法、同じ支持方法で代替出来る材料は?)
→オフィス部と外周部(スタジオ)との境界部分の矩計図の検証が必要ですが見つけられずにいます。


曲面壁の位置は変えてかまいませんし、その形状が直線でもいいですし、いかようにでもして結構です。


Q6.つり天井のロッドはスラブに直接接合されているので、これが天井部の設計をするときの基準(モジュール?)になりそう(韻を踏む?)。曲面引き方にも関係している?若しくは置き換える方法を考えられるか?


吊天井のロッドの位置はあまり重要ではないです。天井の作り方が決まればそれにあわせていかようにでもロッドを打てますから。ロッドの位置で韻を踏む必要はありません。曲面引き方とロッドはなにも関係ないです。最初に曲面、壁位置があり、それにあわせてロッドを打ちます。ロッドの位置は実際そう見えないでしょう?外周部のボード天井なら見えないし、アメーバ内の天井下地ルーバーゾーンでもルーバー以外はロッドもダクトもすべて黒く塗っています。これはつまり見えないものとして扱っているので、どこにロッドを打とうとあまり関係ない。


Q7.曲面壁とつり天井ロッドのモジュールの取り合いは?これも壁面位置の変更にも関係しそう。位置変更出来るとしても、スラブに直接接合されているため、制約にはなるか…。


ロッドは1m格子程度で打たれていますが、曲面壁とぶつかるところ、曲面壁オフセットした1m以内のゾーンなどだけロッドを打たず、それで持たないところは補助的に不規則にロッドを打っている程度だと思います。大丈夫です、曲面壁(アメーバ壁)は動かしていいし、ロッドはそれにあわせてとったりつけたりできます。


Q8.つり天井のロッドの長さ(373mm)は変更可能か?


天井を今の高さより上げたり下げたりしたいのであればできます。長いロッドは切ればいいし、短いロッドはつぎ足せます。今の天井高さはぎりぎりの無駄のない高さなので、天井を上げるのは難しいかな。下げるのはできます。上げるのも天井上の空調システムとダクティングから考え直せばできなくはないけれども…そこまでできるかなあ。


考察

・ 各階がチューブの機能(空調、排水等)に合わせて配置がされているため、秩序が保たれている気がするが、少しそれが強く、特に5番チューブ周りでの上下階の連動という視点から見れば、もう少し連続性を担保出来るようなレイアウトも考えられるのではないか?


いいじゃないですか、チューブに連動した家具レイアウトをもっとエスカレートして考えてみる、ということですね。


・ チューブの視覚認知的特徴をもう少し考慮した設計の手法もあるのではないか?特にチューブの表面と裏面が同時に見え、その面が移動するのに伴って刻々と変化する様子は特徴的であり、錯視的なサイン計画(ある一点から見たときにだけ認識できるとか、アニメーションのように移動に伴って形が変化するとか)等ができるのではないか。


そうそう、チューブの中のどこかだけ塗るとか、そういうリノベーションもあるかもしれないですね。


・ チューブという異質な物によって生まれる「場」の様なものを認識するためには、何かしらの補助線のようなものが必要なように思われる(例えば1Fであれば600mmタイルなど)。 でなければそこに存在する「場」がただ不安定なものになってしまうから。それは意識的に認識出来る物でも良いが、無意識に認識出来るものでもいいかもしれない。 特に7Fは壁面も曲線になっており、一番歪んだ「場」ができているような気がするため、そうした操作が重要なのではないか?(現状では壁面が垂直に立っていることが基準になっている?家具も補助線の役割をしているのかもしれない。)


そうですねえ。天井床にもっとはっきり目地を見せるとか、あるいはピクセル的な色の配置をするとかすれば、そういうことはできるかもしれないですね。あまり伊東さんの建物ではないけど、若々しい案にしてもらうというのもありだと思います。


Q9.SANAAのロレックスラーニングセンターでは起伏に富んだ床面を認識するための補助線として、天井高が一定になっているのか?


まあそれはいろいろ言えるだろうけどねえ…そういう解釈も可能だ、という程度の話しなのではないでしょうか。


全体を読むと、細かいところに目が行き過ぎている感じがします。もっと大きなところから、7階をこう変えます、他の階とこういう関係を作れるし、今の足りないこういう部分がこうよくなります、ということをすぱっと言えるような案を考えてください。そのためにこのリサーチで得た知識が活かせればいいんだけど。

非線形の出来事』には延々と続くプランのスタディの欄がありませんでしたか?あそこで7階のいろんな検討プランのスケッチが出ています。ああいうのも見ながら、よく情報を集めて、すごいの設計してください。

松原弘典/北京110602

5/25ヒアリング & 5/30実測調査・エスキス

お疲れさまです、TA赤垣です。

5月25日は、smtにてヒアリングを行い、5月30日には実測調査を行いました。
メディアテークの皆様、お忙しい中ご協力いただき、誠にありがとうございました。
ヒアリングの内容についてはまた後ほどアップ致します。


30日には小野田先生による、第2回エスキスも行いました。

またまた総合棟のオープンスペースにて。



内容については、本日のエスキスを踏まえて再考・修正し、6月2日のネットチェックにてご報告致します。
リサーチ後の新しいグループも決定致しました。

チームランナー(仮)コウ、山崎、遠藤、平井





チーム読モ(仮)新藤、青島、片桐、中村





チーム人類(仮)平野、山田、佐藤、北本


いいグループ分けができた気がします。お互いの長所、短所を早めに見つけ、自分に求められている役割を実行することが大事です。チームで設計をするというのはとても大変ですが、成長のチャンスです!頑張りましょう!

松原です、ネットエスキスは次のログでやるとして、大切なことを1つだけ確認させてください。この新しいチームは設計のためのチームということですよね?そしてもう設計段階に入ったということでよろしいですね?私が次回仙台にうかがうのは6月14日ですが、その時には前のグループのリサーチの結果発表と、新しいグループの設計の発表が聞ける、ということでいいのでしょうか?そう希望します。

→はい、もちろんそうです。リサーチを踏まえ、新しいグループで設計提案をしていきたいと思います。そのための4人グループです。

5/24小野田先生エスキス1

TA赤垣です。松原先生にさっそくコメントを頂きました。ありがとうございました。(前回の日記)

今日は、第一回のエスキスの様子について報告致します。
時間班、空間班、モノ班の3つに分かれて、リサーチの報告を行いました。(オープンスペースにて)

作業場所も無い状態で、手探りながらも頑張っているなぁと感じました。
第一回のエスキスが終わった訳ですが、もう一度、じっくり松原先生の課題概要を読み直してみるのもいいかもしれません。小野田先生からは「韻を踏む」ということの重要さを指摘されましたが、なかなか難しい印象を受けました。「韻を踏む」ということについて、松原先生からも何かアドバイスがあればよろしくお願い致します。


ああ、やっぱりあのトンチクの空間は偉大だったんだなあと写真を見て思いました。みなさんが場所がないまま作業をしているのには頭が下がります。
韻を踏む…たくさん例があります。宮城県立美術館はどうですか?佐藤忠良記念館が増築されています。前川事務所の設計だと思いますが韻を踏んでませんか?あまりうまくない?私の好きなのは東大の本郷キャンパスの香山先生の増築(正門からの伸びる建物群の屋上の増築)で、あれも韻が効いてます。ヌヴェルの「ホテル・サン・ジェームス」は、古い修道院とホテル増築部分の区別がつかない巧みな押韻です。いろんな韻の踏み方があるんだけど、ここではみなさんの教育のためにも、ぜひ特定の材料を利用/に着目して韻を踏んでほしい。今のメディアテークに使われている建材や、そのシリーズの別型番の建材をテーマにした改装を考えてほしいです。
・西側デッキや6階天井、中2階エスカレータ踊り場の床にある日鉄ファインフロア
(ニッケンビルド、6階天井のはプレーンタイプで別工場で黒ジンク仕上げして色をおとした。西側デッキのはノンスリップ加工のメッキ仕上げ)
・7階の内装仕切りや6階の外壁で使っているプロフィリットガラス
(日昌グラシス、上下でとめれば結構な長さで立てられる)
・各階トイレなどで使っている押し出し中空セメント板
(smtでは三菱マテリアルの「メース」を使いましたが、同等品にノザワの「アスロック」もあります。smtではプレーン品を使っていますが、ラウンドしたコーナー役物やでこぼこがあるリブつきパネルもあります。使用を検討してはどうでしょうか)
・2階のテント・ファブリック
(これについては結局株式会社布の手配した特注オーガンジーカーテンを使用していますが、検討時にはいろんな可能性を探っていました。日本ウエーブロックからシートサンプルをとったり、ペローが使っているワイヤーコンベアネットのサンプルを取ったりですね。)
・各階北側にあるレタンガラリのアングルルーバー
(設計時はクリアのFRPパイプも検討していたんですが、可燃物ということで断念しました。FRPはクリアだときれいなので使いたかったんですが…まあ今のLアングルルーバーもずっしりとしていて結構気に入ってます。岩出山中学校のテラスの手すりで山本理顕さんが使っています。)


モノ班はどんどん電話して各メーカさんからサンプルとカタログをとりよせましょう。他の班の人も自分が設計するとき使えそうなサンプルがあればモノ班にお願いしてとりよせてもらう。内装では可燃物は使えませんので、その前提ははずさない。


今回は白模型にしない。みなさんが具体的に材料を知り、模型も具体的につくる。いいですね。



お互いにどんどん質問、指摘し合いましょう。


以下、各チームの発表内容と感想です。


時間班(平井・新藤・山田)

2010年のレイアウト変更で2Fと7Fにどんな変化があったのかを位置関係で把握し、その他不備がある点・改善点を発表した。また、地震がなかった場合の2011スケジュールから、イベントと部屋の関係性を把握した。
先生の指摘と皆での議論から、5.25のヒアリングで把握する事と、今後の方針については、以下の事が示された。
・組織図や、運営モデルとなっている事例(もしあれば)を教えていただくこと
・smt内で行われる利用者主体の優れたプロジェクトが開催される際の、smt(主に7F)の使い方を伺う
・いままでに良かったイベント、実現させたいイベント、実現させたかったが何らかの障害により実現出来なかったイベントを伺う
を主に行い、直近では
・良い建築事例('01以降)や、公共建築の論文を当たり、本日smtで把握した部分をピックアップし、照らし合わせる作業を行う。(新藤)


一度こういうことを調べだすと、どんな建築にもこういう設計意図があることがわかるようになります。仙台には面白い公共建築がたくさんあります。県立図書館、県立美術館、地底の森ミュージアム、文学館などなど。このリサーチを終えたころにいろいろ見に行くと、学ぶことは多いです。


モノ班(山崎・コウ・青島)

今回のエスキスにあたって、「モノ」班は7Fにおけるモノ(天井・床・壁・スキン・チューブ・家具)についてリサーチし、気付いたことをブレストしていった。その結果出てきたキーワードは、“方向性”“色”“素材”“高さ”であり、それらがあるルールに基づいて構成されていると判断。空間全体は均質さを感じさせるが、それ故家具が自立性を持ち、空間を構成していることを理解できた。次回はモノのリスト作成及び、家具、収納、照明について細かくリサーチし、空間や人間の行為とどうリンクしているのかを考察する予定です。今まであまり触れてこなかったジャンルですがこれを機に極めていきたいと思います。(山崎)


極めてください。楽しみです。smtについては竣工時にいろんな紹介記事があります。新建築とGAのみでなく、建築知識、建築技術(確か私ここに照明の説明文書きました)などもあたる。


空間班(中村、佐藤、片桐、遠藤)


<空間チーム>
今回ブログ担当の中村です。
空間チームは各階の空間を構成する要素である天井、床、カベの主に内装材について表にまとめ、さらに被害をうけた部分はどこであるかなどを視覚的にわかるよう図面にプロットしました。特に、なぜ7階だけ天井が落ちたのかという観点で、天井を釣るのが長すぎたとか、7階だけ天井に壁が勝っているので天井が壁にぶつかってプロフィリットガラスが割れたなどの考察を加えました。


天井がなぜ落ちたかはいろんな検討がされて理由もほぼ明らかになっています。今度エスキスで少しお話しましょう。『日経アーキテクチュア』2011年5月25日号で東大の川口健一先生が天井の話をされていますが、川口先生も構造の佐々木睦郎さんとsmtにお見えになり、天井落下の原因について意見を出していただいています。(ちなみにこの号、奥山恵美子仙台市長のインタビューが出てます。読みましたか?大変示唆的です。)
なお、smtの多くの壁は天井より勝ってます。壁の多くは二重床にも勝っています。7階だけが勝っているわけではありません。


そして小野田先生に指摘された点は主に次の3つです。

・「韻をふむ」 タイルの寸法と天井の目地を合わせたりと細かいところも考えてあり、そのモデュールに着目して空間を構成するルール、原理のようなものを探したほうがよい。時間チームの調査からでてくる人員配置・プログラムの変更、それにより要求される空間の提案等があったときにも、そのモデュールにのっとり(先生はそれを「韻をふむ」と表現されていました)さえすれば、素材や壁面位置等を変更しても違和感なく再構成することができるため、まずは平面図をトレースしたり実測したりしてその「韻」を探すべき。また、照明、空調についても同様に「韻」を見つける。

・「事例研究」 国内、海外での優れた建築における素材の扱い方(隈研吾の高分子化合物(プラスチック)ルーバーなど)を調べ、素材の扱いについての基礎知識をつける。

・「カタログ」 現在メディアテークで使われている素材に至るまでに、様々な素材が検討され、建築のコンセプトとの合致やコストの面から選定されているはずである。震災を経た今、ふさわしい素材は他にもあるかもしれないので、可能性のある素材をカタログにして、そこから改めてどれを選ぶべきかをブレストできる資料が作ったらよいのではないか。

以上のように先生には、抽象的ではなく具体的に設計に使えるルールを探すということと、メディアテーク内のことだけでなく外に開いて調査を進めるということを指摘していただきました。
今後は30日の7F再調査に向けまず図面から「韻」を読みとり、当日の実測や目視で確認しつつ、それまでの空いた時間で事例やカタログ作成にあたりたいと思います。


伊東さんの建物は、ルールは明快ですが、モデュール(寸法調整)についてはおおらかな印象が私にはあります。端から端まで目地を通す感じではない。伊東さんと難波和彦さんが同時期にアルミの住宅を作ったときに伊東さんは基本モデュールを決めなかったけど、難波さんは決めた、というのをよく覚えてます。smtだと…たとえば2階の床を見てください。500ミリ角のグレーのビニルタイルが敷き詰められていますが、床面の吹き出し口がタイルに対して中心に入っていないのがわかりますか?難波‐ヴィトケンシュタイン的にはこれは許されない設備計画ですが、伊東事務所ではそこはおおらかだった雰囲気があります。タイルの床は1フロア全体で1枚と考えていて、目地はないものと見ていた。だから床吹き出し口の位置はタイルの割り付けによってでなく、その下のOAフロアの割り付けに従って決まっています。


また、現在図面が本・雑誌によるものしかないため、なにかと扱いづらい状況です。松原さんのほうで、CADデータのまま実施図面、照明・空調の詳細図面等お持ちでしたりしないでしょうか?やはり事務所のデータは外に出してはまずいのでしょうか?申し訳ありませんが確認をお願いしたいです。(中村)



ああ、図面の問題は大きいですね、メディアテークにもらえないですか?
私からも伊東事務所さんにお願いしてみましょう。
なお、今回の設計検討のとき、チューブは筒で簡単に作るだけで、傾いた柱などは再現しないでいいと思います。


みなさんおつかれさまでした。
図面化と被災箇所checkは空間班が担当している(?)ようですが、後々皆で共有するものなので、余裕があれば、他の班も少し手伝うようにしてください。M1は授業もありとても忙しいと思いますが、この設計課題は自分次第で必ず成長できるものだと思います。25日のヒアリングも頑張りましょう!(TA赤垣)


まわりに敏感になり、少し前の状況を一生懸命想像すること。それが私たちに今求められていることです。(松原弘典)