明日は最終講評会です

http://www.smt.jp/thinkingtable/?p=1038


震災復興に向けて、建築学生にできること

東北大学建築学科による学部4年・修士1年時設計課題の合同講評会。
外部講師の松原弘典氏とヨコミゾマコト氏を招いてクリティーク・ディスカッション。
■日時:7月19日 (火)10時〜16時
■場所:せんだいメディアテーク1階オープンスクエア
■参加費:無料 直接会場へ
■問合せ:sugawami@m.tohoku.ac.jp(東北大学都市・建築デザイン学 技術職員 菅原)

*当日はユーストリーム放送もいたします。
番組視聴はわすれン!のホームページからご覧ください。
http://recorder311.smt.jp/

修士1年設計課題>
○外部講師/松原弘典 建築家 慶應義塾大学准教授
○指導教官/小野田泰明 東北大学大学院工学研究科 都市・建築学専攻 教授
http://d.hatena.ne.jp/china-studio/

せんだいメディアテークの改修を通して「その場にふさわしい」空間を考える。』
 東北大学で建築を学ぶ大学院生に向けて毎年行っている設計スタジオは、今年はせんだいメディアテークの7階を対象に、「その場にふさわしい空間」について考えてもらう内容で進めています。
 「その場にふさわしい」というのは「美しい」とか「使いやすい」とかいう評価とは違います。それはより文脈的であり、周辺に依存しており、関係の中でできあがっているはずのものです。学生のみなさんに、今その場所にある関係に敏感になってもらい、そこになにか新しいものを加えることを構想してほしいと考えてこのような課題を設定しました。
 このスタジオの課題は、3月11日に発生した東北大震災と関係しています。毎年海外の敷地を対象に実施やっているこのスタジオを、今年は仙台の、公共建築の内装設計にテーマを変更し、また海外の大学との交流もキャンセルしてこのスタジオを実施しています。これは私たちにとって、地震の負の影響と言わざるを得ません。
 しかし同時に、私はここで、私たちがこの地震をきっかけに、自分たちのまわりの環境というものをもう一度深く考えさせられる状況に置かれていることを、みなさんといっしょに前向きに受け止めたいと考えています。地震で我々は多くを失い、生活の変更を余技なくされました。そのほとんどはそのまま受け入れなくてはならないようなものばかりですが、なんとか一矢報いたい。設計スタジオをその一矢にしたい。これは今の我々ができる、地震に負けない、ささやかな態度の表明でもあると思っています。
 私はここで壊れたものを文字通り直すとか、新しい都市を作るチャンスだとか、そういうことを言っているのではありません。それは他の人にやってもらえばいいと思っています。私たちがここで、大学院のスタジオとして集中すべきなのは、失われる前の状態に敏感になり、それをよく思い出し、なにかそこに新しいものをつけたすこと、です。私たちの前でたくさんのものが失われてしまいました。
それは比喩的な意味でなく現実的に、です。その現実を前に、みなさんと出来る限り知的に強いものを、メディアテークを舞台に構想する、このスタジオではそうしたことを目指したいと思っています。(松原弘典)