6/2 モノ班ネットチェック

モノ班のリサーチ結果です!(コウ、青島、北本、山崎)

松原先生こんにちは。モノ班です。
モノ班は前回の小野田先生のエスキスでは、「家具」「収納」「照明」の重要性を指摘され、今回はその中の「家具」について、実測する機会があったのでリサーチを行いました。(すみません、前回松原先生にご指摘いただいた照明については勉強中で、また空間班のリサーチ内容と現在照らし合わせている状況です。)

*今回の内容
 ・家具の実測データ(SMT1F、2Fとセンタースクエア1F)
 ・実測データに基づく分析、考察、比較

まず、smtの1F、2Fの家具について実測を行いました。また実際に足を運べ、家具と建築の関係を考察する対象として東北大学のセンタースクエア1F(ダイニング)を取り上げました。この建物の家具は、伊東豊雄さんの多摩美図書館の家具を担当し建築空間への造詣も深い藤江和子さんが家具を手がけています。

1. Smt実測


図:smt1,2階における家具と建築の対応
実測した家具のなかからピックアップし、家具・家具と空間の対応をみた。

表:調べた家具のデータ

ああ、自分たちのよく知る他の建物とsmtを比べたのはよかったですね。藤江さんの家具は比較的かちっとした印象があった(ヒルサイドテラスの家具、というイメージがあります)ので伊東さんもsmtのころはまだ一緒にお仕事されたことはなかったはずですが、多摩美藤江さんが教えていらっしゃる関係でコラボをはじめてして、伊東さんご自身も藤江さんの家具やそのお人柄をかなり好きになられたようです。


2011年3月11日以降のSmtの家具のレイアウトを参考に、1階と2階の家具の実測および建築空間の対応を行ってみた。
調査によって、いくつか気づいたことが出てきた。まず、1階と2階の家具は白と黒を基調とするものが多いということである。水平面(机の座面など)で白の場合(A-aテーブル、F-d椅子)は床の色と同調するように、黒の場合(A-c椅子、B-e椅子)は床に対してよく見えるようになっている。しかしテーブルで黒のケースは見受けられない。また垂直方向の骨組が白の場合がある(C-c棚)これはsmtのチューブの骨組みが白であることに同調している。


smtの家具は「特注品」と「既製品」扱いの二つがあると思ってください。特注品はこの建物のためにとくに設計制作したもので、既製品はカタログから選んだものです。1階はカリム・ラシッドの特注家具は朱色のインフォメーションカウンターとショップのグリーンのカウンター、カフェの中央に突起のあるテーブルの3点だけだったと思います。カフェの椅子やオープンスクエアのイベントで並べる椅子はカタログから選んでいて、しかも設計はカリムでなく7階の特注家具を設計しているラブグローブさんのものです。カフェのフロストミラー張りのパントリーは当初はカリムの特注にしたかったんですが、設備との取りあいが面倒で時間が間に合いそうになく伊東事務所でやっています。ショップの角の取れた商品棚などはカリムのカウンターにあわせてやはり伊東事務所が特注設計制作しています。2階は床に固定のガラスのマガジンラック、白いカウンター、クローバーチェアは妹島さんです。まあ出生はいささかばらばら、ということですね。
 色については、伊東事務所の建築はモノトーンで外部デザイナーの家具や人でカラフルに、というお願いをして家具デザインを外注しましたが、妹島さんがグレーと透明を選んだので2階の家具は結果的にモノトーンになってます。3,4階の図書館もKTAが木の無垢材の質感を選んだので結果としてあまりヴィヴィッドな色は見えてきていません。あえて設計当初のルールをいうなら、家具はモノトーンな建築と対比的な色で、ということが最低ルールとして決められていたことになります。


第二に各階で家具に用いられている色は白と黒(グレーも含む)以外には1階は赤と黄色の2色、2階は緑の1色で、最大4色となっている。これによって家具の放つ色合いが統一されている。逆にポスターや本(とくに児童ライブラリーにあるもの)で様々な色があるので家具と比較すると目立つようになっているように思われる。


すでに書いたように、家具はカラフルに、という方針であり、それが何色、というのまでは明確にしていませんでした。モノトーンなはずの建築ですが、7階の床のカーペットがグリーンになっています。もともとはグレーで現場を進めていましたが、ラブグローブさんがこの階の家具を「知の庭」として考えたいから床もペパーミントグリーンにしたいがどうか、と伊東さんに提案されて、伊東さんがそれに乗った、という経緯もありました。


第三に、各エリア(A〜E、Fのオープンスクエア・カフェ・休憩所)で家具の統一が行われており、他のエリア同士で家具の混合がないということである(クローバーチェアを除く)これは例えば会議室では大人数で用いるために、またカフェにある椅子は背もたれや肘掛けがついており長時間座っていても苦にならないようになど、各機能に応えるように設計されている、または家具を選定していると思われる。しかし逆にエリアと家具は対応しているが、空間の座標と対応しているのかは分からない。この点で家具のデザインは空間に対しては比較的おおらかであると思われる。


いささかわかりづらい文章ですが、まあおおむね言っている理解は正しい、というかあたりまえの理解以上になっていないように読めます。家具の位置まではそう厳密に決めていないです。もちろん完全に固定されている家具(2階でいえば白のカウンターやガラスのマガジンラック)は施工時に固定位置を座標で指定しますが、その座標自体に深い意味を見出す必要はないです。



クローバーチェア

クローバーチェアについて考察してみた。妹島和世デザインのclover-chairは単体で複数人が使うことができ、座るひとが他人でも顔見知りでも使いやすいように設計されている。また公園のベンチのように椅子にも机のようにも使える。密集させれば大きな水平面をつくれる。



心得:二階の家具は大雑把に二種類に分けられます。ひとつはオフィスデスクや資料収納など使用者向けの事務用の家具です。もうひとつはTUBEに沿って配置している曲がるテーブルなど利用者向けの家具。事務用の家具は仕事の効率に配慮し、使いやすい規則の形でできた一方、利用者向けの家具は有機的な曲線を多く用いており、TUBEと連携し、変化の豊富の空間を演出します。


そうですね、使用者=管理者向けは多くはバックヤードなので既製品で、利用者向けは多くは目につくとことなので特注品や、既製品でもいいものやデザイナーの署名のされたものを入れています。



◇The furniture researching sketch of Open Square & Cafe = 1 F
心得:一階のテーマはオープンスクエアであり、主な機能はイベントや飲食、または休憩です。家具の特徴も機能に従い、たとえカフェのテーブルをオープンスクエアに移動すると、違和感が出ます。逆にClover Chairをカフェに移すと、色のコーディネーションは、TUBEの色調である白と黒は一階の家具の基調となり、オレンジ色や赤や黄色や緑など生き生きの明快の色で空間を飾ります。そして素材の変化も豊富です。思考テーブルの天板の木、食卓を構成するプラスチックやスチールや樹脂、またはClover Chairの革の表面や中身の低反発素材など様々な素材からできた豊かな触感を体験できます。


竣工時のクローバーチェアはスポンジ素材に塗装しただけで不思議な触感を持っていました。残念ながら使用とともに表面に穴が開けられるようになり(ペンなどを突き立てたいたずらによるもの)今では化学繊維のカバーがかかっていると思います。5、6階ギャラリーのホワイエにあるカリムのカラフルのソファも、汚れが目立ってたまに洗濯に出しているようですね。


Q: ここにいくつの不明点がありますが、まず、カフェの食卓の真中の突起は何のことでしょうか。またその食卓の脚の二つが太いが、残った二つが楕円の断面で細いです。これは何か特別の理由もしくは意匠が入っていますか。 


これはカリム・ラシッドの設計で、その意図については説明を受けていません。おそらく箸や調味料を置けるスペースとして計画されたのでしょうが、使われていないようですね。7階のラブグローブの設計は、「知の庭」であり、AVラックやベンチの形状は「発芽」をモチーフにした形状をしている、という説明を受けました。伊東さんも気に入られていたと思います。そのあとサーペンタイン・ギャラリーの家具も彼にお願いしているわけですし。



◇The furniture researching sketch of Open Square & Cafe = 1 F
THINKING TABLE:地震のあと、一階はOpen Squareでイベントのないとき、木の素材の長いテーブルを二つずつ組み合わせ、ボランティアの集合地点となります。需要によって、テーブルが作業台になり、正方形の大きな食卓になり、様々のパターンで組み合わせることが可能です。


このテーブルのことは知りませんでした。竣工後にこの地震のためにつくったのでしょうか。ぜひ写真を見せてほしいですね。



◇The furniture researching sketch of AV Library = 2 F
VIDEOCLIP SHELF:二階の映像Libraryに設置している映像媒体の収納棚です。棚を支えている端の鉄棒は地震が起きるとき、激しい揺れがあっても、棚が転倒しないように、床に挿します。利用者の安全面に配慮しています。また、その収納棚は緑の色で、まるで土地から生み出した芽のイメージがあり、利用者をリラックスさせます。


これ、写真がないのでわかりませんが、もともと7階にあったラブグローブ設計のAVラックのことですよね。すでに述べたように、これは「発芽」をテーマとしていて、数年前の館内レイアウト変更に伴って7階から2階に降りてきたんでしょう。



◇The furniture researching sketch of Children Library = 2 F
BOOKSHELF:二階の児童Libraryの家具のスケッチです。児童Libraryの本棚や卓などの寸法はすべて子供のScaleに則し、さらに視界を考慮して定めています。空間も本棚の配置によって分割されます。




◇The furniture researching sketch of Meeting Room = 2 F
Conference TABLE: 二階の会議室のイメージです。三角の形の会議用テーブルは六つのpartitionに分解できます。そして卓の裏の脚はローラーがついており、簡単に移動し組み合わせられます。


各室のサインに気付きましたか?赤いスチールのプレートに白字で室名が書いてあります。2階だとおはなしの部屋とか会議室についています。あれはスチールでできていてマグネットが効くので、A4のチラシなどをそのままマグネット固定している使い方を想定していました。たとえば会議室内で開かれているイベントのチラシをそのまま(テープを使わずに)マグネットで貼る、とかですね。



◇The furniture researching sketch of Clover Chair = 1 F
CLOVER CHAIR:CLOVER CHAIRはせんだいメディアテークの家具の最高傑作とも言えよう。二人で座る向き合いながら話している恋人同士、三人で座る同じ方向へ講壇に面して受講する学生たち、あるいは一人で座り友達を待っているおじいさん。みんながクローバの葉っぱに座る方式が異なり、CLOVER CHAIRの可能性の豊富さを表しています。面白いのは、CLOVER CHAIRは椅子の背がないので、長時間座るのは少し辛いかもしれませんが、使う人は他の椅子より少なさそうです。


2.センタースクエア実測

 次にセンタースクエアの実測について。
大学内の食堂。学内ということで家具の詳細図面も手に入ったので、寸法や素材などの詳しい情報を入手できました。(↑センタースクエア家具リスト)


以下特に気になった点。
【カウンター2】


・作業方向は2種類。①建物全体のメイン動線の方、その先には大開口。②食事スペースの方。どちらも座面・基面が高いため視点は直立の人に近い。←ここは建物のメイン動線に接しているから。
・基面は柱間に調度収まる部分と、柱を避けるように伸びた部分がある。屈折部は奥行きがとれ、1台の中で場所性が異なる。
・柱の配置に家具の配置、形を噛み合わせることで柱が仕切りの役目も果たす。
・柱と脚のラインを揃える→デザイン性、韻

【テーブル3】
・視線は主に食事のスペースなので、視線は自然と白いテーブルへ。または一緒に食事をしている人へ。
・高さは同じだが違う基面のタイプ(正方形、円)が複数ありランダムに配置。全体としては長方形の枠に収まり一体感あり。

 
【ラウンジベンチ1】


・開口付近に位置しているため、建物外部へ。また水平を基調としたラインが利用者や物(荷物)を際立たせている。
・柱間のスパンに合わせたプロポーション。またこの配置でできたラインにより動線が遮られ、他と空間の質が異なる。
・食事以外の目的としてもよく使われている。


【照明】


(左)ダイニング1のシャンデリア  縦に伸ばした蛍光灯が吹き抜け空間全体に垂直性を与えている。
(中)ダイニング2前の照明器具
(右)ダイニング2の照明    天井の照明とは別。円状のパイプにスポットライト。円形のパイプにはカーテン取り付け可能


センタースクエアの家具と空間の関係性について
 プラン中心のダイニング空間はもともと2列の柱によって空間が3つに文節されている。家具もそれに沿うように3種類扱われ、用途もそれぞれ少しずつ異なっている。また柱に家具のプロポーションをマッチさせていることも分かった。柱のライン、方向性に合わせた家具配置、動線分け。柱間の寸法に合わせた家具のプランニング。
これらのことから全体としてこの建物の家具はもともとある空間の特性を強化していると言える。また限られた材料で複数のバリエーションを生んでいる。コスト面はかなり抑えられているそうだ。
 せんだいメディアテークとは家具に対してのそもそもの考え方が違うのかもしれない。比較対象としては意義があるのでは。


ここでセンタースクエアの家具を担当された藤江和子さんについて

(↓担当された多摩美術大学図書館の家具の写真)

藤江和子さんは、
「家具というのは人間が空間に関わる際のある種の手がかり。
要するに、建築と私たちの間に存在するもの。」
「建築との関係、空間の使われ方をイメージしてかたちを考えていきます。」

と語っている。そこを使う人々は家具に案内されて空間の良さや使い方を家具に紹介してもらうイメージを受ける。また彼女が目指したものは、自分だけの家具の特別な使い方を見つけられる、そんな使い手に誘発力を促す家具なのではないか。


3.smtとセンタースクエアの比較

【場所との関係性】

smtについて、
伊東豊雄さんが「家具だけで場所をつくった」と語っているが、この言葉は「あの家具があるから僕はここで◯◯を行うんだ」というように家具が人の行為を誘発しているものと解釈できるのではないか。つまり、家具を動かすと、場所の使われ方も変化するフレキシビリティをせんだいメディアテークは持っている。

一方、センタースクエアは、
多摩美の図書館などで家具を製作した藤江和子さんが家具を担当した建築。ここの家具も「家具が人の行為を誘発して」いるのだが、同時に場所と家具が強い関係性を持っている。つまり、場所ごとの特徴を家具がうまく引き出している。なので、この建築は家具の場所を自由に変えにくい、変えると全体の配置バランスも崩れ、移動した家具が個としてすっかり浮いてしまう可能性もある。


smtは、原っぱにもの/家具を置いていく、だからものが溢れると原っぱの良さが陰ってしまう空間なのかなと思う。建築空間に対してそこを使う人が自分にあった「家具のあり方」を見つけていくような家具と建築と人の関係を見つけたい。(北本)


そうですねえ、伊東さんのメディアテークはユニバーサルな空間にチューブというイレギュラーなものが貫入して各階に異質な場所を作りだしているわけですが、家具もそれでいうと、ユニバーサルな空間の中で、(チューブほどとは言わないけれど)空間をかき回し、異質な場所性を作りだしている道具群なわけですね。だから家具は多少ソリッドに、彫刻的に置かれていると言えるのかもしれません。それに対して藤江さんのここでの例は、もう少し場所によりそって、建築と家具の境界をあいまいにしようとしているように私には見えます。みなさんは今回の改修で家具をどう位置付けますか。


4.まとめ
今回のスタジオで松原先生が仰った「ルール」小野田先生の仰った「韻」という点でsmtの家具を見てみると、家具によって空間とその機能などが決定されるという印象を受けました。空間に機能が割り当てられ、機能別に家具を設置していくという手順とは逆のものです。これは2010年のレイアウト変更時2階映像音響ライブラリーが拡張することができた、また震災後に2階にあったクローバーチェアを1階に持ってきていることに由来するものです。藤江和子さんの建築空間と極度にシンクロした家具デザインとは違い、使う場所に関してはおおらかで、来館者や従業員が自由に使っても良いように設計しているということを感じました。この点でも敷地や建築・家具の設計者によって「ルール」がまったく異なることを再認識しました。家具自体の考察では妹島和世のクローバーチェアが様々な行為を許容できるように設計されており、ヒトの行為に対して一義的な設計とは一線を画す代物であると感じました。ここからわたしたちモノ班は、家具とヒトの行為の間にある多様な関係をより分析していきたいと思います。6月2日を以ていったんリサーチ班は解体され、設計班に再編成されてこれからは実際のデザインに踏み込んでいくわけですが、引き続き設計に支障のでないように分析を続けていこうと考えています。


いいんじゃないでしょうか。あまりクローバー家具を神格化せず、みなさんなりのさまざまな行為を許容する家具を考えてみてください。
 伊東さんの初期の作品の多くは大橋晃朗さんがやられています。八代の博物館のそれは衝撃的でした。同世代の倉俣史朗さんのことなども調べてみるといいんじゃないでしょうか。


5.質問項目
・smtの1階にある家具は屋外で使用することは想定されていたりはしたのでしょうか。オープンスクエアのある1階は都市に対して開かれた空間であると思われ、ならば1階に存在する家具は屋外で用いることは考えていたのかと思いました。


今館内にある家具を屋外に置くことはあまり話題になりませんでした。屋外だと実は見落とせないのは敷地西側にある駐輪場の屋根です。あれは柱こそステンレスでカバーしていますが、ほぼアルミでできている構造体で、のちの建築基準法の改正によるアルミ建築物の建築可能性のさきがけでした。あれはエンジニアリング的に先端を行っていたし、同時期の伊東さんのブルージュ・パヴィリオンやアルミエコハウスにつながるものですが、smtのあの駐輪場はあまりそれ以降注目されてません。ループルのメディアテーク前の屋根をアルミで作らせてもらう話もあったんですが、結局そうなってませんよね?


曼荼羅の手順について、何か指摘があれば。
・家具とヒトの行為と空間について特に検証している建築家がいれば教えてください。現代近代古代関係なく。


いろいろ事例も作家もあるんじゃないでしょうか。近代日本だとやはり篠原さんの弟子と大橋さんの関係が大きいだろうし、イタリア人建築家なんてみんな家具やっているでしょう。


・家具の使用人数という要素を表にてつくりましたが、実際にその家具を使うヒトとその家具に座っているヒトと話すヒトなど家具一つに関連するヒトという視点では多岐に渡ってしまいます。このような複雑な項目をまとめる手法など実践的な例があればご教授ください。


質問がどこのことを言っているのかつかめない。


・こどもの丈にあったクローバーチェアを制作するような話は持ち上がったりしましたでしょうか。


これはとくになかたっと思います。妹島事務所の中でどういう話があったかは不明ですが。あまり子供のため、っている話はなかったですね全体的に。2階の子供図書スペースだけでした。


以上が今回のモノ班のリサーチ内容と質問項目です。
松原先生、エスキスの方よろしくお願いします。


まだどうもみなさん硬い気がします。もちろんこれはお勉強だから、なにかモノをみてその背景の理屈を読み取ってほしいんだけど、あまり細かいところに深すぎる意味を見出そうとしたり、どうでもいいようなことに目を奪われ面白さに気付かない、という部分がまだあるような気がします。まあこれは経験がないと仕方ない部分もあるんだけどさ、しかし建築を考え設計する面白さから離れなければ、おのずと着目すべき点もそうずれない気がします。もっとすなおにかっこよくきれいなものはなんでできているのか、という目でこの建物を見ることが必要です。理屈がいくらあってもできるものがだめならそれはまったくだめなわけです我々のやってることはさ。だから、よくよくその背景に目を配りつつも、メディアテークのもとからあるかっこよさにしびれながら、よりしびれちゃうような改修を考えてほしいですね。これは難しいようでいて、そう理屈っぽいことではないし、本来とっても前向きで楽しいことのはずです。ものつくりをしているんだという意識をわすれず、このあとの作業を進めてください。


松原弘典/110605湘南台