松原エスキス


みなさん、松原弘典です。ざっとみました。

このログでは全体的なコメントを書きます。各図面についてはみなさんの
ログのところに赤字で記入していますから、そちらもあわせて確認して
ください。

●タイトル・ネーミング
・まずチーム名がダメ。こういう個性化は意味がない。直してください。
チーム名でなく、マスタープラン名をつけたほうがいい。このあとみなさん
また別のチームに別れて(そのときにはチーム名があっていいでしょう、ただし
ふざけたものでなく、自分の案を端的に言い表すものにしないとだめです)、
「自分はこっちのマスタープラン案に合わせて単体設計をしました」と
言っていくわけですから、プランに名前をつけたほうがいいでしょう。ここで
ネーミングをはっきりさせて2つの案をよく個別化しておかないとあとの
単体設計がぼんやりしたものになってしまう。
設計案にタイトルをつけるつもりで、2つのMPに名前をつけてください。
これについてはみなで真剣に話し合うべきです。
私の提案は
「チームパンダ」→「横縫い取り型マスタープラン」
「チームリウシン」→「LRT併合型マスタープラン」


繰り返しますが、2つの案をよく差別化すること。それぞれ自分がこういう
案にしたいということを念頭に置きながらこっちのMPはこうだよね、という
ことを主張するミーティングを全員でしてください。これから2つのMPに
それぞれ単体設計をするわけですから、自分とは別の案が似てきて自分の
領域をおびやかすようなら、その旨他の案に対して主張して修正をかけて
いくことです。あくまで全体のなかでの作業だということを忘れないで
ください。


私の考える差異化案は以下のようなものです。簡単に書きます。
・横縫い取り型
2つの軸の間の帯のゾーンを意識したプランニングとし、それをどう横に
縫い取ったようにつなげるかを課題とする。sight-seeing traffic pointsと
あるけれど、「ポイント」というよりは「ベルト」くらいで考えたほうが
つなぎの意識は出そうです。まあこのあたりはよく考えてください。
LRTの案も規則的に駐車場など入ってきますしあちらは「ポイント」なわけ
だから、こっちは「ベルト」とか別の言葉を探しておかないと、作業中に
2案はどんどん似てしまうでしょう。
LRT併合型
駅がでてくるわけだから、そこを現実的かつ魅力的なものにしないといけない。
LRTという特殊な設備にだけよりかかったMPにならないように、美しいMPを
描かないとといけません。それをどうするか。うんと乗降簡便なプラット
フォームのシステムを考えるとか。


自分たちでよく話し合って、2案の特徴を文字図表(キーワード、その他の
ルールなどを対比的にまとめておく)にして製図室にまとめて貼っておくと
いいです。その表をここにもアップしたらどうでしょうか。私にも見せて
ください。それから各MPの名前はきちんと中国語に訳してもらうことです。


●全体の構成、レベルの設定
・2案とも全体図があり(パンダは3枚、リウシンは1枚)、そのあとに時間軸の
図面が3枚ある構成はよく分かります。しかしそのあとのパンダの1枚(地区計画
と称した道路幅や建物高さの話)、リウシンの3枚(用途変更2枚と建物高さ1枚)
はあきらかにバランスを欠いている。


これはマスタープランですから、建物高さや道路のことを語るなら、部分的に
せず全部について語るべきです。それは時系列の3枚と同じスケールの図面でも
いいし、部分的に拡大するならせめて我々の対象敷地である3か所について
1トピックで語りつくさないと変です。例えばパンダの地区計画の1枚は応天門の
敷地の周辺しか語っていませんが、これをするなら本来なら他の2か所についても
地区計画の図面を同スケールで用意すべき(そうすると地区計画は3枚になる)
だし、あるいは「地区計画」というテーマの1枚の全体図を用意すべきです。


リウシンの最後の3枚はますますちぐはぐです。運河の話しは2枚に別れていて、
運河を整備して別のループを作るというのはありだと思うんだけれど、2枚の
シートの表現にあまりにギャップがありすぎて理解不能です。
高さ制限の話しは応天門のところだけなのも気になります。このエリアにしか
高さ制限がないのは変だし、同心円状の制限設定はかなり無理があると思います。


ですから、パンダの最後の1枚、リウシンの最後の3枚は思い切って捨てて、
もう少し全体のルールを考えたほうがいい。徹底して全体図面(経年プランと
同じスケール)ででおやりになるといいです。2つのマスタープランについて、
例えば最後の2020年の状態での「緑」、「用途」、「交通」、「水」(必要なら
さらに「容積率」、「建物高さ」などもあっていい)などのレイヤに分けた
各トピック分析図を作成するほうがいいと思います。
この段階ではへんに細かいスケールで個別の問題を語らない。もちろん全体の、
例えば水のことを考えるときには単体の地区計画における水のあり方を考え
なくてはならないわけですが、この段階では全体を同時に見ることが必要です。


●マスタープランに求められる表現
それから、みなさんの今回アップした図面はすべて「マスタープラン分析図」
であって「マスタープラン」ではないです。マスタープランは記号的な要素を
消し去って、航空写真のように道路の車道と歩道を描き分け、きれいな樹木や
水面を描いた未来像の図面のことです。中国の他の2校もこの図面に力を入れて
それをばっちり描いてくるはずです。私たちもこれを描かないと。これが最も
重要な図面になります。
TA石鍋君は阿部先生の西山プロジェクトでいやってほどこれを見ていたでしょう?
グーグルの写真と合わせて作った全体のマスタープランです。これがかなり
重要な図面ですから、みなさんこれをきちんと仕上げないといけないです。
私が前回置いて行った参考文献にも、たくさんこれに類するMPが出ている
はずです。参考にして美しいものを作ってください。


●今後の作業
私が次回仙台にお邪魔するのは6月9日月曜の0900です。それまでに以下のことを
完成させていないとだめです。
・2つのMP(MP分析図でなくMPそのもの。大きく打ち出して(A0とか)壁に貼って
見せてください。)
・MP分析図(1MPにつき、総論1-2枚、時系列3枚、各トピック3-4枚、すべて全体の
スケールでよい。各A1程度で全部打ち出して壁にはっておくこと)
・2MP3敷地なので計6つの単体地区設計案。いくつも案を出す段階を経て、これで
いきたい、という方針を決めてきたのを見せてほしい。


まだMPが終わっていないから労働力の配置をうまくやらないとだめです。


●心得
私が仙台にいる短い時間を、各案間の調整に使わせないことです。各案の差異化を
私にやらせてどうしますか。そういうことは履修者どうしでうまくやっておいて
ください。
私とは設計の中身の話しをする、というのが本来の正しいあり方です。


もう来週月曜までベッドでは寝れませんね。ではでは