松原エスキス1へのコメント

みなさんこんにちは、松原弘典です。

第一回目のエスキスは玉石混交という感じでした。ちょくちょくご覧になっているであろう小野田先生の御苦労も想像できますが、今年のみなさんの作業を初めてぱっとみた私の感じから言うと、まだあんまり差がでていないふうでもあります。
 みなさんの発表と、今までのトルコ側とのやりとりを思い出して私のほうで考えたのは、以下の2点です。

1.歴史的建造物が残っている西岸についてよりも、幹線道路とつながる現在はどちらかというとだらしなく放置されている東岸のほうについて、トルコ側は再生の智恵を求めているのではないか。

2.改めて「農」と建築の関係を明確にする必要があるのではないか。今回のこのスタジオは農業と建築のあたらしい関係を考えるようなことができるのではないか

ということです。これは私の想像なので、あとは現場に言って現地の人と話してそれを確認すればいいのですが、予言めいたものとしてここに残しておきましょう。


5チームはそれぞれさまざまなレベルの話がありました。プログラムを具体的につめたものもあり、プログラムよりは再生開発手順に重心をおいたものもあり、今はそういう感じでいいのではないでしょうか。

現地では中国人学生8人とトルコ人6人がまざって作業をします。どういうチーム編成になるか今の段階ではわからないけれど、なにか各自が持って帰れるような「発見としてのお土産」を見つけられるようにするといいでしょう。いくつかキーワードがエスキス中にもあがっていたと思います。

team AIRの人たちは「パブリックとプライベートの境界」をよく見極める必要がります。建物の裏に広がる土地は境界がないけれども、実際の地籍は分割されている。そこを一緒にパブリックな用途で使うようなことが現実的にありうるのか?住民の話を聞いたり、実際の裏庭の状況を仔細に観察する必要があるでしょう。

U-S-Aは川の周りをもういちどよく見る必要がある。今の「川べりにどういう可能性」があり、またどういう問題があるのか。問題をどう解決すればあの場所がよりよくなるのか。ブルサのような都市からの人がやってくることを想定するなら、都市生活者の価値観も少し観察してくる必要もありそうです。

Mega villageは、おそらく他の村を見たりする時間はないでしょうから、どこかで現実的な設定ポイントをヒアリングなどで見極めてしまう必要があるでしょう。実際に「ミシと他の3つの村の関係はどのようなもの」であり、なにかを分担できるような設定が可能なのか?

はっぴーは、ブルサやミシの人にとって、「結婚という非日常が日常生活とどのあたりで境界が引かれているのか」という感覚をつかんでくる必要があります。ロハス自然主義の結婚が今のブルサの人々には受け入れ可能なのか?あるいはもっとぎらぎらした価値観が強いのかその逆か?

BOSはあらためて「農というものがトルコの都市生活者にとってどういうものなのか」見極めてくる必要がありそうです。それは身近なものなのかそれともかなり聖域化されているようなものなのか。どれくらいの手軽さがあればブルサに住むような人々は農業に再度触れたくなるのか。


トルコのほうはいろいろ準備をしてくださっているようで、私も渡航がとても楽しみです。ホームステイで田舎に泊って作業するわけですからぜひなにかホストファミリーにお土産を準備してあげてください。では次はミシでお会いしましょう。